学校や公民館で子どもに勉強を教える、放課後学習支援員。児童・生徒の成長を間近で支えつつ、高時給/週1OK/残業なしetc. 好待遇で働けるお仕事です。
どなたでも気軽に始められますが、「上手に指導できるかな?」「児童・生徒と打ち解けられるか心配……」など、“子どもを相手にする仕事”の経験がない方ならではの不安もありますよね。そこで今回は、子どもたちに勉強を教える上で気を付けたい、10のポイントをご紹介していきます。
その1/生徒の興味関心を知る
はじめて指導するときや、顔を合わせてから日が浅い時期。まずは子どもたちとの間に信頼関係をつくることが大切です。児童・生徒との間に信頼関係がないと、話した内容がスムーズに伝わらないことも。反対に良好な関係が築けていれば、将来の夢/希望する進路/趣味といった、学習&進路指導に役立つ情報を得られる可能性があります。そして信頼関係を築くためには、まず子どもの興味や関心を知ることが大切です。指導中や休憩時に雑談を交わしながら、子どもたちがどんなことに熱中しているか、いま何が気になっているかを把握するよう心掛けてみましょう。
会話のテーマが見つからないときは、学生時代の部活経験や好きなゲームなど、皆さん自身の経験や好きなことについて話してみてください。思わぬ共通点が見つかるかもしれません。ゲームや漫画など、子どもたちの間で流行しているコンテンツを事前に調べておくのもおすすめです。
その2/適度な距離感を保つ
打ち解けることが大事とはいえ、それはあくまで“先生と生徒”という関係が前提。指導の目的は子どもたちの学習をサポートすることであり、友だちになることではありません。甘やかしすぎて、「指導や注意を聞いてもらえない……」という状況に陥ってしまっては本末転倒です。下に見られたり、軽く扱われたりしないためには、心を鬼にして「ダメなことダメ」としっかり注意することが大事です。とはいえ、ただ厳しく高圧的に接していては、子どもたちからの信頼を得られません。常にやさしさと厳しさのバランスを意識しつつ、適度な距離感をキープするよう心掛けましょう。
その3/小さなことでもほめる
学習をサポートする上で大事なのが、子どもたちのモチベーション管理です。児童・生徒の学習意欲をうまく高められれば、成績の向上にもつながります。モチベーションを上げるためには、子どもの長所を“褒める”ことが大事です。指導の際に意識していただきたいのが、小さなことでも「とにかく褒める」こと。「課題を提出した」「小テストの点数が上がった」など、子どもたちの良い点を少しでも見つけたら、きちんと褒めてあげましょう。
褒める際は、「○○さん、よく頑張ったね」「△△くん、すごいね」といったように、意識的に子どもたちの名前を呼ぶようにしましょう。「自分のことを認めてもらえた」という意識が強まり、学習へのやる気や自己肯定感を高められます。

その4/なぜ叱られるのかを理解させる
宿題を何度も忘れてきたり、他の人に迷惑をかけたりetc. 勉強を教えていると、時には子どもたちを“注意する”場面もあります。そんなとき、「どうしてやらないの!」「静かにしなさい!」などと、頭ごなしに叱るのはNGです。何故注意されるのかをきちんと説明して、子どもたちが理解できるよう工夫しましょう。また、他の人がいるところで特定の子を“名指し”で叱ると、自尊心を傷つけてしまう可能性があります。可能であれば、子どもの名前を直接呼ばず、全体に訴えかけるよう注意する方法を取るといいでしょう。
その5/できなかったことを覚えておく
なかなか理解が進まなかったり、問題をたくさん間違えてしまったりetc. 子どもたちが勉強につまずいてしまったとき。「何ができなかったのか」「どこでつまずいたのか」を、しっかり覚えておくことが大事です。そして苦手を克服したときには、「前はできなかったのにすごいね!」ときちんと褒めてあげましょう。「先生はあなたのことをしっかりと見ていますよ」というメッセージを伝えられます。
その際に結果だけでなく、できるようになった“過程”も褒めるとさらに効果的です。「毎日復習を頑張っていたね」「苦手な単元をしっかり勉強したんだね」などと、努力のプロセスを褒めることで、子どもたちのやる気をさらに引き出せるでしょう。
その6/つまずいた場所まで戻る
指導内容を「なかなか理解してくれない…」と困ったとき、無理やり先に進めてはいけません。理解が追いつかないまま新しいことを教わると、わからないことがどんどん増えていき、子どもの学習モチベーションが低下してしまいます。多少時間はかかったとしても、その子がどこまで理解しているのか、どこでつまずいたのかをきちんと把握するようにしましょう。教え方を工夫することも検討してみてください。理解しやすい平易な言葉で説明し直す、図やグラフを使って視覚的に分かりやすく伝えるなどの手段を試してみると良いでしょう。

その7/教えすぎない
丁寧に指導することはもちろん大切ですが……。答えをすぐに教えたり、1から10まで解き方を説明したりetc. 教えすぎてしまっては逆効果です。よかれと思って熱心に指導した結果、子どもたちが“わかった気分”になってしまい、本番のテストや試験で良い結果を出せない……といった状況になりかねません。学習指導の最終的な目的は、子どもたちが自力で考え、解答を導き出せるようにすること。答えを教える前にヒントを出すなどして、児童・生徒が自分で考える時間を設けるよう心掛けましょう。そうすることで、講師に依存せずとも「自立して学習できる子ども」に育てられます。
その8/気分転換させる
なかなか勉強に集中してくれなかったり、やる気が見られなかったり……。そんな子どもたちに対しては、いきなり机に向かわせるのではなく、まずは一緒に小さな目標を設定してあげましょう。「簡単な問題だけやってみない?」「まずはこの1問だけ解いてみよう」などと、少しずつ目標を達成させることで、学習に対してポジティブな印象を持ってもらえるでしょう。反対に集中力の高い子どもであっても、ずっと勉強し続けていれば、いつかは疲れが出てくるはず。適宜休憩の時間を設けて、気分転換してもらうことを心掛けましょう。リフレッシュすることで、再び集中して学習に臨めます。
その9/やることを具体的に示す
学習指導をしていると、「一生懸命努力しているのに、なかなか成績が上がらなくて……」という悩みを抱えた児童や生徒と接することもあるでしょう。そのようなケースでありがちなのは、「本人は自分なりに努力しているものの、頑張る方向性に誤りがある」というパターン。「この教科書の○○から進めよう」「2次関数の問題を1日5問解こう」などと、やるべきことを講師が具体的に示してあげるとよいでしょう。
その10/受験生にはポジティブな言葉をかける
志望校に合格するため、毎日一生懸命頑張る受験生。成績が伸び悩む時期、もしくは受験直前には、焦りやプレッシャーで神経質になることもあります。そんなときは、メンタル面でのサポートが大切です。焦りや不安から、受験生はどうしてもネガティブな思考になりがち。「まだ3ヶ月もあるよ!」「きっと合格できるから頑張ろう!」などと、生徒が前向きになれるように声掛けしましょう。
「志望校のレベルを下げようかな…」「併願校を増やしたい!」など、進路について相談を受けることもしばしば。その際に大事なのは、ご家庭の考えや、子どもたちが通っている学校の意見も踏まえて話を聞き、アドバイスをすることです。ご家庭の思いや学校での指導との間に齟齬が生じると、受験生をさらに混乱させてしまいかねません。講師自身の考えに固執することなく、子どもたちの気持ちに寄り添うことを意識してください。