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働いてる方インタビュー

もう一度教育現場に戻りたい! 定年退職後に「放課後学習支援員」として働くシルバー世代の声

教員を定年退職された方や、定年後の再任用期間を終えた方の中には、「それでもまだまだ教育に携わりたい!」という熱意をお持ちの方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。そんな方々にぜひオススメしたいのが、学校や公民館で子どもたちに勉強を教える「放課後学習支援員」という仕事です。放課後の時間を活用するので、塾講師や家庭教師と違って勤務時間が夜遅くになることはありません。また、これまで教育現場で働いてきた経験や知識を、現場で役立てられるのも大きなメリットといえるでしょう。

今回は、高校教員を定年退職されたあと、東京都内の公立中学校で「放課後学習支援員」として働いているKさん(70代・男性)に、詳しい仕事内容などについてお聞きしました。

もう一度、子どもたちと関われる仕事を

―― 定年退職されるまでは、どんなお仕事をされてきたのでしょうか。

Kさん 高校の数学教師として40年間働いていました。部活動の指導もしていましたし、授業外の時間を使って受験指導にも取り組むなど、寸暇を惜しまず働いていました。それくらい「きちんと子どもたちと関わっていたい」「教育という仕事に取り組みたい」という気持ちが強かったんです。

―― それで定年退職された今も、「放課後学習支援員」として働かれているのですね。

Kさん 65歳で私立高校を定年退職した直後は、妻とゆっくり過ごそうと考えていました。ただ、私はじっとしていられない性格(笑)。結局は、すぐにシルバー人材センターから仕事を紹介してもらい、国家試験の試験監督業務をすることにしたんです。ただ、その仕事では子どもたちと関わる機会が全くありません。「これは違うな」と感じて、次に向かったのがハローワークでした。窓口の方が講師の仕事を探してくれはしたのですが、希望に見合う仕事とは出会えませんでした。

―― “子どもと関わる”という条件を第一にお仕事を探していたと。

Kさん そんなとき、「放課後学習支援員」の仕事募集を見かけました。応募するとすぐに折り返し連絡をいただけて、とんとん拍子で話が進んでいき、面接や研修を経て、東京23区内の公立中学校での学習支援に参画させてもらえることになったのです。それから今に至るまでの5年間、同じ中学校で「放課後学習支援員」として働き続けています。

リーダー講師の仕事とは

―― 現場ではどのようなお仕事をされているのでしょうか。

Kさん 私が勤務している学校では、中学3年生を対象に、基礎学力の定着を目的としたグループ指導を行っています。勤務時間は放課後の15~18時の中で2時間程度です。参加している生徒は20名ほど。生徒を4~5つのグループに分け、そこにメイン講師と呼ばれる、指導にあたる1人がついて数学と英語を教えています。その中で私は、リーダー講師とも呼ばれる「管理者」という職務を担当しています。グループ全体やメイン講師を統括する仕事ですね。

―― リーダー講師の仕事内容について詳しく教えてください。

Kさん 指導中に各グループを巡回しながら、メイン講師が生徒たちと上手くやれているか、生徒たちは落ち着いて授業を受けているかなどを、確認して回っています。基本的にグループを受け持つことはないのですが、生徒たちの学力には差がありますからね。中にはグループ指導に付いてこられない子もいます。そうした時、メイン講師と相談をして、グループの中で学力差がある子を個別指導することもあります。

―― メイン講師の方々とはどのような関りがありますか?

Kさん 生徒たちのグループ分けについて、メイン講師の方々と一緒に相談しながら考えますし、グループ指導の前後に生徒たちの情報を共有するミーティングも、毎回欠かさず行っています。また、メイン講師にどのグループを担当してもらうのか、これを考えるのも私の仕事です。メイン講師として働いているのは、普段は技術者として会社勤めをされている方や、子育てを経て仕事復帰された主婦の方、大学生の方など、さまざまです。当然タイプや得意分野が異なりますから、1人1人と話し合って「学習意欲が高い子に勉強を教えたい」「学習が苦手な子のサポートをしたい」といった各自の希望をヒアリングした上で、担当グループを決めていきます。

―― 1つのチームとして、メイン講師の方々と一緒に働かれているのですね。

Kさん まさにその通りです。私が勤務している職場ではメイン講師の皆さん全員、本当に教え方が上手です。これまで務めてきた中で、放課後のグループ指導に通っていた生徒さんたちはみんな、希望の高校に合格している。客観的に見てもすごいですよね。グループ指導で勉強意欲が高まって、難関校に合格した子もいます。

―― 長い間同じ学校で働かれていると、ほかにも嬉しいことがたくさんあったのでは?

Kさん もちろんです。例えば以前、「学校の授業には通えないけれど、放課後のグループ指導なら通いたい」と言ってくれる生徒がいました。長い間、私が1対1で指導を担当していたのですが、最終的には教室へ戻れることになったのです。本当に嬉しかった。当時、その生徒の保護者と頻繁に顔を合わせていたこともあって、親御さんは今でも私に、その子の近況を報告してくれます。

―― 逆に大変だったこと、苦労したことがあれば教えてください。

Kさん 授業に何度も遅刻したり、欠席したりする子も中にはいますね。そういうときに私がよく悩むのは、どこまで踏み込んで、生徒たちに注意や指導をするかということ。学校に深く関わっているとはいえ、やはり教職員の方々とは立場が異なりますから。ただ、そういう場合は、教職員の方々が私たちの代わりに指導してくれたり、生徒と話し合ってくれたりするなど、いつもサポートしてくれるので、大きく困ったことはありません。

―― 教職員の方々も非常に協力的なのですね。

Kさん 私は職場に行くと、まず担任の先生方から生徒の出欠確認をします。ですので、必然的に関わり合いが生まれて、お互い協力しあう雰囲気になるものです。そういえば、「放課後学習支援員」として勤務した初年度、私から学校側に頼んで卒業式に出席させてもらったこともありました。そのときは快くお願いを聞き入れてくださって。ありがたいことに、翌年以降からは「ぜひ出席してください」と、教職員の方々からご招待いただけるように。生徒たちとは1年近く一緒に過ごしますから、卒業式では毎年必ず泣いてしまいます(笑)。

これまでの経験を役立てられる喜び

―― 働いていて、やりがいを感じる瞬間はありますか?

Kさん 定年退職しても、子どもたちと関われることは本当に幸せです。近くで成長を見守れて喜びを感じるのはもちろん、子どもたちの姿から逆に何かを教わることも少なくありません。また、教育現場で働いてきた経験を、今の職場で役立てられることも嬉しいですね。

―― どんなときに役立てられていると感じますか?

Kさん 繰り返しになりますけど、メイン講師の方々はみなさん教えるのがお上手です。ただ、お若い方も多く、公教育に携わった経験を持っているという方は、あまりいません。ですから、「学習指導は分かるのですが、生徒のやる気を促すコツまでは分かりません」というケースが多々生まれます。例えば、生徒が問題を解けたとき、「じゃあ次の問題を解こう」と先へ進む前に、「できたね」「すごいね」と一声かけることはとても大事です。当たり前と思われるかもしれませんが、公教育の現場で長く働いていないと、この一言がすぐには出てきません。ですから、「とにかく生徒を褒めてあげてください」などと、メイン講師の方々に声をかけることはよくありますね。

―― やはり公教育に長年携わっていた方が現場に1人でもいれば、より充実した学習支援の環境を整えられそうですね。

Kさん 教員を定年退職してから、「放課後学習支援員」をやられている方はまだまだ少ないと聞いています。私がそうだったように、この仕事を知らない方も多いのでしょう。しかし、「子どもと関わる仕事をしたい」という思いを持っている方はたくさんいらっしゃるはず。ぜひそういう方々には、もう一度教育現場に戻ってきていただきたいですね。
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