1. 講師・教員のお仕事 EWORK TOP
  2. EWORKラボ
  3. 日本の教育現場に足りないのは「あなた」。教員ではない大人が教育に参加する社会意義
最新教育事情

日本の教育現場に足りないのは「あなた」。教員ではない大人が教育に参加する社会意義

経済産業省は、「未来の教室」という教育改革を目的とした有識者会議を、2017年から開いています。この場で2019年2月に発表された「EdTechを活用した学校現場の業務改善等検討事業 調査報告・打ち手提案」という資料は、教育現場でイマ、何が起きているのかをつぶさに観察、調査して作られたものです。まずはこの資料で明かされている驚くような日本の学校、その業務実態を見ていきましょう。

1日8時間では足りない先生たち

ボストンコンサルティング グループによってまとめられたこの資料。現代の日本社会において学校で働く先生たちがどのような状況にあるのか、数字とともによく現わされています。例えば、「小学校における業務実態:役職別・教員別の業務時間(週1)」という項目では、驚くような長時間労働環境にあることが報告されているのです。(※出典:EdTechを活用した学校現場の業務改善等検討事業 調査報告・打ち手提案)

なんと、教師歴3年未満のいわゆる新人教諭は、週平均で70時間勤務。全体でも週平均は64.8時間に上り、月に直せば約100時間の残業時間となります。いわゆる「過労死ライン」の80時間を超えてしまっているわけです。

業務内容を個別にみていくと、64.8時間のうち33.5時間が「学習指導」にあてられていました。ここには授業自体と授業の準備、テストの採点・評価が含まれています。13.2時間が「授業以外の生徒指導」となっているので、生徒と向き合う時間だけを見ても、1日8時間の週5勤務では足りない状況にあります。

そのほか、5.3時間がいわゆる各種行事の準備となる「学校運営」にあてられており、2.2時間が教育委員会や地域からの問い合わせにあたる「渉外対応」、9.6時間が「教師の研修・能力開発」にあてられているという調査結果でした。

ここから見えるのは、基本勤務となる8時間で生徒と向き合い、5時間程度の残業を持って親や教育委員会への対応を担っているという現実です。

先生と学校に対する過度な期待

この提案書では、根本的な問題が「保護者・地域からの過度な期待」と「それに全て答えようとする学校・教員側の意識・慣習」にあると結論付けられています。“保護者・地域”を日本人と言い換えれば、日本人全員が先生に甘えている状況と、それになんとか応えるべく長時間労働が常態化してしまった学校・先生の姿が思い浮かぶでしょう。

では、「保護者・地域からの過度な期待」とはどのようなものでしょうか。宿題を例にすると分かりやすいかもしれません。

漠然と「宿題は毎日出されるもの」だと皆さん思い込んでいませんか? どんな宿題を出すべきか検討して、宿題を作り、紙で印刷する……。翌日回収した宿題を採点して、成績表に転記する。これを毎日行うのは、それだけでかなりの労力だと想像できます。まだ自分なりの指導ツールが揃っていない若い先生はとくに、時間がかかる傾向にあるようです。

この提案資料内では、宿題もデジタル化し、宿題配信システムや採点システムを導入、できるだけ自動化すべきとされていました。でも、もしそう聞いて「それでは人間らしくない」「先生が生徒1人1人と向き合っていないじゃないか」などと感じてしまったら……。それこそが“過度な期待の正体”といえるでしょう。

宿題の例にもある通り、こうした学校現場を改善するためのカギとして、ICT・EdTechの導入推進を挙げられています。ただし、この状況を日本の社会が共通課題として認識し、改善しようという機運づくりが、その前提に必要です。しかしそれは、地域・社会・政府を巻き込んだ大きな取組みで、時間がかかります。

一方、問題は非常に切羽詰まっている。今できることはいますぐにやらないといけない。日本は今、そうした事態に追い込まれているといって良いでしょう。

教員免許不要!教育現場を支える「放課後学習支援員」たち

教員ではない日本人が、教育現場を支えるために今すぐできることは、いくつかあります。その1つが「放課後学習支援員」という仕事です。

小学生~高校生までを対象に、放課後の時間を使って学校や公民館などで学習サポートを行います。「学校で勉強を教える」といっても、教員免許は不要です。特別な資格をとる必要もありません。

ここで学習指導を受けている子供たちは多種多様です。何らかの事情で、塾に通えないが学力を向上させたい子。親が帰ってくるまでの居場所としてここにいる子。授業に遅れが見える子。さまざまな子を、個別・集団指導でサポートします。

「それって、先生の仕事じゃないんだ」「昔はボランティアでそういう人がいたような」と思ったら、それもまた“過度な期待”でしょう。現代において、学校・先生にはそうした指導時間をとる余白がありません。だからこそ、「放課後学習支援員」という仕事が、求められているのです。

“放課後”と言っても、時間帯は大きく分けて2つに分けられます。1つは、学校で勤務するパターン。こちらは大体、平日の午後2時~午後5時までという勤務時間になります。

2つ目は、学校をまたがって、地域の公民館に集まる子供たちを指導するパターン。こちらは平日の午後6時~午後9時までという遅めの時間帯になります。

「高校生の子供が家に帰ってくる夕方までの間なら、働けそう」「会社が終わってからの午後6時以降なら自分にもできそう」など、皆さんの都合に合わせて、時間帯を選べるともいえるでしょう。

また、どちらにもいえるのは、週1-2日程度の勤務で良い場合が多く、拘束時間がそこまで長くないことです。

地域貢献のために、週1日・3時間程度から「放課後学習支援員」をする。そこには、大きなやりがいと社会的意義があります。先ほどの資料をご覧いただければ、それを実感していただけるでしょう。1,500円から2,000円程度と、時給も決して低くないこと、付け加えておきます。

「放課後学習支援員」には、いくつかの職種があることも紹介しておきましょう。子どもたちを直接指導する「講師職」以外に、出席状況や欠席者の確認・連絡などを行う「事務員」、全体を統括する「管理者」といった仕事があります。

求められるスキルも違い、働く方の年齢層も幅広いお仕事です。「事務員」の方は、本業でも事務職をされているママさんたちが多く、「管理者」は定年退職されたいわゆるシルバー人材の方が多い傾向です。「講師職」で学力向上を求められる現場では、現役大学生が勤務している場合も多く、教育現場の負担を軽減し、子どもたちに等しい教育機会を与えるために、さまざまな世代が協力して働いているとも言えます。

子どもが、家庭と学校以外の大人たちと関わりをもつ意義

教員免許不要で働ける「放課後学習支援員」という仕事。当然そこでは、教育の仕事をずっとされてきた方だけでなく、さまざまな場所でさまざまな経験をされてきた方たちが働いています。子どもたちからすると、家庭と学校という限られた世界では出会えない、さまざまな大人と出会う場所にもなるわけです。

親や教員とはまた違う価値観、評価基準を持つ大人との出会いは、子どもの多様性を育みます。親からは「落ち着きがない」と怒られていても、別の大人には「元気があるね」と褒められるかもしれません。先生からは「大人しすぎるかな?」と見られていても、別の大人からは「自制出来て偉いね」と言われるかもしれません。

多くの人を通じて、多くの価値化に触れることで、子どもたちの世界はぐんぐんと広がっていきます。「私なんて平凡だから、子どもからしても退屈な存在では?」などと思うわず、一人ひとり違う価値観を持っていて良いのだと伝えることが大切です。

子どもの世界を広げてあげることは、もしもの時の逃げ場作りにもつながります。例えばいじめ問題。いじめが起きた子どもたちだけの世界で閉じていると、逃げ場はありません。それが家庭にあれば問題ありませんが、そこにも見出せず、学校の先生にも言い出せない。

そんな時、家庭と学校とはまた違う世界があると示してあげられる大人の存在は、とても大きいものです。そうして多くの価値観を持った大人たちが、子どもを見守る。「放課後学習支援員」という職場は、そうした環境にもなっています。

先生のために/子どものために/社会のために

当然ですが、未来は子どもたちのものです。「子供の貧困」や「教育格差」といった社会問題を抱えながらも、未来を担う子供たちが等しく勉強できる環境を整えることは、現代社会を担う大人の責任です。

責任重大なその仕事を、いままでの日本社会は、先生に押し付けすぎていた……。経済産業省の有識者会議「未来の教室」で公開された提案書には、その実態がよく現れていました。

先生と学校に対する過度な期待を改め、動ける人は自らが動いて、教育を支える。いま求められているそうした行動を具体化する1つの手段として、「放課後学習支援員」という仕事が存在します。週1日・3時間勤務から始められる「放課後学習支援員」。もし、教育の在り方にちょっとでも疑問をお持ちであれば、社会貢献を兼ねた仕事として、検討してみてはいかがでしょうか?
TOP