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働いてる方インタビュー

教える仕事ってこんなに難しい……けど楽しい! 放課後学習支援員として働く方の声

一般的な企業においても、新入社員へのOJTなどで、「仕事を教える」というシチュエーションはあります。ただ、塾講師や放課後学習支援員が教える相手は、大人ではなく“子どもたち”です。さらにいえば、「学力向上」という共通の目的に向かって机を並べる塾とは違い、放課後学習の現場で接する子どもたちの気持ち、目的、モチベーションは多種多様。そこには、普通の仕事とは異なる“難しさ”がたくさんあります。また、だからこそ味わえる“楽しさ”もあるのです。

今回は、実際に放課後学習支援員をされているHさん(20代・女性)にお話をお聞きしながら、この仕事ならではの難しさと楽しさをご紹介していきます。

週に1日から始められた“憧れの仕事”

―― 教育系の仕事をずっとされてきたのですか?

Hさん もともと教員に憧れがあって、大学も教育系に進学。その時に塾で講師のアルバイトを始めました。もともとフランチャイズだったのですが、独立して個人経営になってからは、なかなか大変で……。

―― どのような環境だったのでしょうか。

Hさん 9時までに集合して夕礼。19:20に授業開始でそのまま150分間講義をして、10時前には終わるのですが、その後サッとは帰れません。子どもたちからの質問や相談があれば答えますし、保護者への対応や授業の準備もありますし……。毎日家に帰れるのは12時という状態でした。

―― その状態だと大学の勉強に影響が出そうですね。

Hさん はい。それで何度か留年しまして(笑)。これではいけないと感じて塾の講師を辞めたのですが、一方でその塾は時給が良かった。なので、その基準で別のアルバイトを探してもなかなか良いものと出会えません。また、大学を優先しなければいけない状況でしたから、週に何日も入れない。週1日勤務でもよく、時給も塾講師時代と同程度という条件で探した結果、半年くらいは一般企業の事務に派遣で入ったりしていましたね。でも、ちょっと寂しくもあったんです。やっぱり教育に対する憧れがあって。

―― そこで出会ったのが「放課後学習支援員」というお仕事だったのですね。

Hさん 週に1日から始められて、時給も塾時代と同レベルかそれ以上。そして憧れていた教育の仕事そのものですからね。「教員免許を持っていない私でも公教育に携われるんだ」と、すぐに飛びつきました。

公教育ならではの難しさ

―― 実際に配属された現場はいかがでしたか?

Hさん 最初に私が受け持ったのは中学3年生。学校内で放課後に3時間、子どもたちの学習サポートを行いました。時間帯としては、15時から18時までですね。塾講師時代と違って、夜型になることはありません。ただ、子どもたちの心、気持ちが塾時代とは大きく異なっていたことに、当初は戸惑いもありました。

―― どのような違いがあったのでしょうか?

Hさん モチベーションや目的が皆バラバラでした。学力を上げたい、授業で躓いているところを補いたいといった学習目的が明確な子もいれば、いわゆる“居場所”として来ているだけで、勉強自体にはやる気を示さない子もいる。こうしたバラバラな気持ちの子どもたちが1つの教室で机を並べているというのは、公教育であれば自然なことだと思います。塾や予備校では基本的にあり得ないことです。これは放課後学習支援という仕事における難しさの1つだと思います。

―― そのほかにも塾との違いはありましたか?

Hさん 「指導に使えるツールが限られている」というのも、戸惑いを覚えたことの1つです。塾であれば、使いたいものを使いたいときに使える。子どもたちの理解度や学習状況に合わせて、臨機応変にツールを使い分けられました。参考書や学習ドリル、計算プリント集などですね。その子の学習状況に合わせて、これらを変えられたわけです。しかし、放課後学習支援の場合は、そういうわけにもいきません。基本的には最初に決めたツールを途中で変えることはできないし、追加もできない。そうした制限の中で、どうやって子どもたちの学習をサポートしていくか。これらもまた、“難しさ”の1つでした。

―― どのように対応されたのでしょう?

Hさん 私は5人を受け持っていたのですが、1人どうしても、授業中に喋ってしまう子がいました。ただ、数学だけは抵抗がなかったので、演習課題を数学に絞ったりしましたね。助かったのは、彼が素直な子だったこと。数学が得意という自己評価はありつつもケアレスミスが多いという側面があり、彼もそれを課題に感じていた。だから、ミスを指摘しても素直に聞いてくれました。そうして接し方を見つけてからは、スムーズに学習サポート出来たかなと思います。

―― 子どもたちから、勉強以外の悩み相談を受けたりもしたのでは。

Hさん そうですね。でもそこは塾時代と同じです。家族のこととか、友達のこと、恋愛のこととか。私個人的には、そうやって悩みを打ち明けてくれることをうれしく感じます。ただ、私はまだ経験ありませんが、深刻な悩みを相談されるケースもあるでしょう。例えばDVやいじめですね。そういうところでも、学校の先生ではない私たちだからこそ、悩みの受け皿になれるのではないかとも思うのです。

―― しかし、そうした重い悩みに直面したとき、対応しきれないと講師自身が悩んでしまうケースもあるのではないでしょうか。

Hさん 「放課後学習支援員」という職場においては、講師が相談する相手として「管理者」の方がいらっしゃいます。生徒の出席状況や講師の授業内容をチェックしてくれるなど、頼れる存在です。定年退職された元先生や元塾長の方など、指導経験豊富な方がその役割を担われていることが多く、私たちも安心して子どもたちに接していけるという環境になっていると思います。

「子どもたちのために」というかけがえのないやりがい

―― 一般企業での勤務経験しかない人からすると、「学校」は特殊な職場に感じます。子どもがいなければ、学校の先生と接することすら稀です。放課後学習支援員というお仕事で、皆さんは学校の先生方とどのように接しているのでしょうか?

Hさん 基本的にはご挨拶程度の関りですが、ちょっと問題行動のある子を教室まで連れてきてくださる先生や、講座が始まる前に立ち話でいろいろとアドバイスしてくれる先生もいらっしゃいますね。ただ、先生はとにかく皆さんお忙しい……。生徒指導だけでなく、保護者対応もありますし、文化祭などの学校行事も次から次へと準備に追われています。やらなければならないことをたくさん抱えていらっしゃるなかで、私たちの存在が少しでも先生たちの負担軽減につながればと嬉しいですね。

―― 「放課後学習支援員」は、公教育を支える大切な仕事の1つなのですね。

Hさん そう思える瞬間があることもまた、私にとっては大きなやりがいです。

―― 他に、やりがいを感じる瞬間はありますか?

Hさん 子どもたちの学力が上がり、いい点を取ってくれるようになると、単純にうれしいですよね。子どもたち自身も喜びますし、保護者の方から「ありがとうございました」とお手紙をもらうこともあります。

―― いま、この仕事がなぜ社会から求められていると思いますか?

Hさん 大きな話ですね(笑)。でも、「子どもの貧困」や「教育格差」といった社会問題を日本が抱えている中で、私たちが一定の役割を担わないといけないとも思うのです。どのような環境にある子どもでも、等しく教育を受けられる社会が望ましいわけですが、一方で家庭の事情から塾に通えない子もたくさんいます。そして、先生方は大変忙しく、個別指導の時間を取るのが難しい状況です。そういった中で、教育のセーフティネットとして、私たちの仕事が求められていると思います。
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