新聞や経済誌、テレビなどでも最近よく聞く副業の話。「副業解禁」「副業時代」などといった言葉が飛び交い、実際に副業をしている方も増えてきました。一方で、働き方改革による残業規制で、短時間労働の仕事が増えていると同時に、「収入が減ってしまった」という声もよく聞きます。もはや、誰もが副業・兼業・パラレルキャリアなど、1つの職業だけでなく、さまざまな仕事を担って稼ぐ時代です。
ただ、副業を始めるにあたっては、いくつかの気を付けたいポイントがあります。なかでも、いまの勤め先に対してどう副業を申請し、許可してもらうかは課題です。今回は、“大副業時代”に知っておきたいポイントと、実は副業にぴったりな「放課後学習支援員」というお仕事をご紹介していきます。
多くの企業・団体で副業は許可制
会社員の方が気を付けたいのは、お勤めされている企業の就業規則です。副業についての記述を必ず確認してください。もしも「副業禁止」とあれば、現段階では行動するのを控えて、上司などに副業解禁に向けた相談をしましょう。憲法では職業選択の自由が定めらていますから、後は会社との話し合いです。副業が許可制であった場合は、許可申請書を会社に提出します。会社にフォーマットがあればそちらを使い、なければネットでテンプレートを探してみてもいいでしょう。
副業先の会社名や業種名、住所、職務内容を記入するのはもちろん、副業先での雇用形態はどうなるのか、週に何回何時間働くのか、勤務開始日と契約期間はどうなるのかといったあたりを記入するのが一般的です。
大事なのは「副業を始める理由」の書き方です。単に「お金を稼ぎたいから」では、申請が下りないかもしれません。このポイントは後述します。
一方で、現在アルバイトやパートタイマーで働いている方は、多くの場合で特に会社へ申請する必要もなく、副業、つまりダブルワークを始められるはずです。ただ、すべての会社がそうした就業規則になっているわけでもありません。就業規則は、会社単位で異なるもの。アルバイトとはいえ、就業規則に副業禁止を設けている会社もあるので、やはり事前に確認しておくことをオススメします。

副業申請のNGパターンは?
気を付けたいのが、前述した「副業を始める理由」です。多くの場合で「収入を増やしたい」というのが根本的な理由になると思いますが、それだけだと勤務先の印象が良くありません。「会社でもっと働いて業績給を増やしたらよい」などと諭される可能性も考えられます。一方、「会社ではできない経験をするため」であったり、「本業につながるスキルアップ」のため、さらには社会貢献のためであればどうでしょうか。会社側が副業を拒否する理由はあまり考えられないのではと思います。また、お金のためであったとしても、「親の介護費用を作るため」などといった、切羽詰まった理由であれば、これも会社が拒否することはあまり考えられません。
いずれにせよ、具体的な理由をきちんと会社に伝えることが大事です。
ならば、どのような場合に副業がNGとなるのでしょうか。公序良俗に反する仕事ももちろんですが、多くの会社で言えるのは、いまお勤め中の会社と同業の他社、つまり競合になりえる会社での副業です。これはある意味で当たり前かもしれません。同業他社での副業だけでなく、同業で個人事業主として活動するのもまた、NGになるケースが多いので、お気を付けください。
また、過剰な働き方、つまり長時間労働にも許可が下りないでしょう。例えば、本業が9時~17時勤務で、その後毎日18時~24時に副業をしたいとします。こうした場合、過労で本来の業務に支障が出る可能性を否定できません。本業の会社が副業を認めない可能性は高いでしょう。
副業申請が通りやすい? 「放課後学習支援員」というお仕事
ならばどのような仕事であれば、副業がOKになりやすいでしょうか? それはつまり、本業とは違う業種で、スキルアップにつながり、社会貢献にもなる仕事。なおかつ、勤務時間が過剰に長くなることはなければ、条件としてベストです。そこでオススメしたいのが、「放課後学習支援員」。小学生~高校生までを対象に、放課後の時間を使って学校や公民館で学習サポートを行う……というのが、主な仕事内容となります。
「学校で勉強を教える」と聞くと、「教員免許が必要なのでは?」と思うかもしれませんが、心配ご無用。教員免許がなくとも勤務可能です。ただし、勤務時間には注意が必要で、主に2つの時間帯で募集されています。
1つは、放課後に学校で勤務するパターン。こちらは大体、平日の14時~17時までという勤務時間となり、「午前中は別のお仕事でパート。午後は地元で放課後学習支援」という働き方をされている方が多いようです。
2つ目は、学校をまたがって、地域の公民館に集まる子供たちを指導するパターン。こちらは平日の18時~21時までという遅めの時間帯になります。場所によっては18時30分からなど、さらに開始時間が遅い場所もあるので、17時まで勤務の方であれば、十分間に合う時間帯といえるでしょう。こちらは、昼間は非常勤教師と働いている方や、同じく日中は通訳・翻訳業をされている方などが、実際に副業として働いているケースが多くみられます。
また、どちらにも言えるのは、週1-2日程度の勤務で良い場合が多いこと。定められた時間より遅くなることも基本的にはありません。
さらに、「放課後」ではなく土曜日の日中というパターンもあるので、休日の副業としても検討できる仕事です。
また、子どもたちを直接指導する「講師職」以外にも、出席状況や欠席者の確認・連絡などを行う「事務員」や、全体を統括する「管理者」といった仕事もあり、求められるスキルは多種多様。働く方の年齢層もかなり幅広いお仕事です。「事務員」の方は、本業でも事務職をされているママさんたちが多い傾向にありますが、「管理者」は定年退職されたいわゆるシルバー人材の方が多く、「講師職」で学力向上を求められる現場では、現役大学生が勤務しているケースも。公教育をサポートするために、さまざまな世代が協力して働く現場と言えるでしょう。
ただ、さまざまな事情の子供たちに接する仕事でもあることから、子どもとのコミュニケーションに慣れている方が求められるのは間違いありません。

自分のため、社会のための副業
この「放課後学習支援員」という職種と、いわゆる“本業”が競合にあたるケースは、かなり少ないのではないでしょうか。同業と呼べるのは塾講師の方ですが、逆に塾講師の方が掛け持ちで「放課後学習支援員」をされているケース、たいへん多い状況です。「本業と競合する副業」「利益相反にあたる副業」という理由で、副業申請を却下されることは、かなり稀でしょう。一方で、「人に何かを教える」という経験は、多くの職業で必要とされるスキル。また、子どもという大人以上に難しい相手と向き合う仕事は、マネジメントスキル向上にもつながります。
さらには、なぜこうした職業がいま求められているのかを考えれば、社会貢献という意味合いが色濃いものであることも、ご理解いただけるでしょう。「放課後学習支援員」は、「子どもの貧困」や「教育格差」といった、社会問題を背景にして誕生した仕事という側面もあります。
最後に、気になる賃金についても触れておきましょう。当然、職場やスキルによって異なるものの、時給は概ね1,500-2,000円程度です。
スキルアップにもつながり、社会貢献にもつながる。現在の職場に申請しやすい。「放課後学習支援員」は、副業にぜひオススメしたい職業です。
