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学校今昔物語

教員採用試験の倍率から考える~先生になるのは狭き門?

近年、先生になるための関門である「教員採用試験」の倍率が下がっています。しかし、自治体は選考方法を変えるなどしてより資質・能力の高い教員を求めています。子どもとかかわり成長を見守る教員という仕事に「どうしてもつきたい」という人にこそ、さまざまなチャンスを生かして教壇に立ってほしいものです。

東京都で5.7倍から3.9倍に

平成30年度東京都公立学校教員採用候補者選考(31年度採用)の応募状況は、応募者総数は前年度から1,804名減少の13,461名となり、応募倍率は5.7倍から3.9倍に低下しました。小学校は2.7倍、中高は5.0倍となっています。倍率低下は全国的な傾向で、かつては20倍近くあった平成10年代からすると公立学校の教員への道は「超狭き門」とはいえない状況が生まれています。

一方、教員免許授与件数は平成26年度から28年度まで約22万件前後で推移しています。好景気で企業への就職が盛んな売り手市場であること、教員の働き方改革で多忙化がクローズアップされていることもあいまって、免許状を取得しても、教職に魅力を感じない学生が増えていると考えられます。

資質・能力の高い人材が求められる

しかし、ここで注意したいのは、教員採用試験の倍率が低下したからといって合格しやすくなっているわけではない点です。新学習指導要領の実施や大学入試改革を控え、自治体は対話力や思考力、コミュニケーション力の高い教員を求めたいと考えているのです。

東京都は平成30年度選考から選考方法を見直し、第一次選考において、原則、全ての受験者に教職教養、専門教養及び論文を課しました。また、第二次選考において、例外なく全ての受験者に集団面接を課したのです。

教員採用試験の倍率は下がったとしても、求められる能力や資質は高くなっていることから、公立学校の教員になる難しさは質的な転換期を迎えています。「狭き門」になったというよりは、「新たな門」をくぐることになったといえるのです。

私立学校の採用なら今から十分間に合う

こうした中、ぜひ教員採用試験を目指す人にも注目してもらいたいのが「私立学校の教員になる」という選択肢です。私立学校の教員になるには、私立中学高等学校協会が行う「私立学校適正検査」を受験して、その成績や履歴書を採用活動に活用する、教職員に強い人材エージェントや派遣会社に登録をしてマッチングによる採用を利用するなどの方法があります。

私立学校の教員採用は専任教諭の場合は春から夏にかけて、非常勤講師の求人は年末から年明けが活発になります。平成31年度の教員採用試験(平成32年度採用)受験を考えている人は今からアンテナを張っておくと多くの情報収集ができるでしょう。

すでに今年度、教員採用試験を受験した人の場合は、秋から動き出すのはやや出遅れ感もありますが、あきらめる必要はありません。私立学校の採用活動は年度末3月いっぱいまで続くことが多いので、人材エージェントなどを活用して効率よく情報を集めていけば来春に十分間に合います。

新学習指導要領の全面実施まであと数年。対話型の授業やアクティブラーニングなどこれから求められる教員の資質を伸ばすうえでは、指導要領の移行期間中であるいま、現場の先生方に教わりながら授業力を磨くという実践的なキャリア構築も念頭に置いておくべきでしょう。教員採用試験だけでなく私立学校の採用試験も同時並行で考えるのが教員への近道と言えます。
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