浦和実業学園中学校・高等学校 校長 齋藤 清幸 先生
浦和実業学園中学校・高等学校の中高一貫部は、今年で開校14年目を迎えています。1946(昭和21)年に九里總一郎先生によって創設された私塾を源流とし、「実学に勤め徳を養う」を建学の精神として同学園で最も若い学校として誕生しました。「英語イマ―ジョン教育」「キャリア教育」「徳育」の三本の柱で、一人ひとりの興味や関心を高め、目指す将来の大学やその先の進路を描ける教育を進めています。
国公立大、早慶合格者が増加
国語、数学、理科、社会、英語の主要5教科は、年間で決められた授業計画「シラバス」に則って「先取り授業」を行います。6年(高校3年)の1学期には中高6年間で学ぶべきすべての内容を終え、2学期からは大学入試に向けたセンター試験対策や演習に取り組んでいます。2018年春に卒業した第8期生(87名)の主な大学合格実績は国公立大7名、早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大に10名、GMARCHに22名と着実な実績を上げています。
大学合格実績に貢献する補習「土曜ゼミナール」
大学合格実績に貢献する補習「土曜ゼミナール」それを支えているのが授業と、授業以外の学習サポート、いわゆる「補習」です。その種類は充実しており、日々の授業の理解度を確認するものから、英検・漢検・数検などの検定対策補習、夏季補習や冬季・春季補習、大学受験のための進学補習講座などすべての学年において充実させています。
中でも4・5年生を対象とした「土曜ゼミナール」は外部講師による集団型の授業や、1グループ5~6名のグループに分かれて行う少人数型の補習です。学校の教員ではなく外部講師を学校に呼び補習を開催することについて、校長の齋藤清幸先生は次のように話します。
「普段の授業とは異なる学習環境を作ることにより、生徒のモチベーションを引き上げること、また少人数指導により個人の『弱点』を補うことができます。本校の教員が行う補習とはひと味違う迫り方で、土曜日に力を付ける補習を実現したいと思いました。同じ内容でも授業で習うのと、補習で習うのとでは別の新鮮さがありますから、それが生徒にとっても学びを深めることにつながると考えます」
例えば英語の補習ではテキストの音読を一人ひとりチェックしながら進めています。授業では全員で声を出したり、数人を指名して当てたりすることしかできませんが、土曜ゼミナールではしっかり発音が出来ているか、理解しながら読めているかを確認できるといいます。今後は大学入試でも英語4技能の力が試されることから、スピーキング力を高める指導へとつなげることができます。
補習の効果を高めるには、日頃の授業内容との連携や教科を教える先生方へのフィードバックがポイントになります。生徒一人ひとりの学習面でのデータや、教科ごとのシラバスは学年の初めに外部講師がしっかり把握。土曜日の補習当日は生徒の出欠をとり参加状況や学習状況を教科担任に報告しています。
「補習でどのように生徒たちが学んでいるかを、教科担任にフィードバックすることにより日々の授業改善にもつながるし、それがよい循環となり補習の効果も上がります。補習を受けた感想を教科担任が耳にして、刺激を受けるという良い面もあります。生徒の希望進路を実現するという目標のために外部講師の存在は『もう1人の先生』として本校には欠かせないのです」(齋藤校長先生)

教員が本来の仕事に集中できる環境
同校は開校当初から週6日制を宣言し、土曜日は学習指導の一部を外部講師に任せることを前提に教員採用を進めてきました。教員の「働き方改革」が叫ばれる中、外部講師活用は、教員の労働時間の適正化にも一役買っています。教員が本来の仕事に集中できるため、授業はもとより、部活動、キャリア教育や徳育教育などのきめ細かな人間教育も可能になっています。
求めるのはコミュニケーション力のある人材
生徒の希望する進路実現に向けて、生徒を学習面でサポートする。その役割を担うために補習講師にはどのような力が求められるのでしょうか。「生徒とのコミュニケーションが取れる講師を期待します。一人ひとりの生徒をよく観察し、個性に合わせた対応ができる人が望ましいですね。本校の中高一貫部は1~3年生のあいだは体験活動を多く取り入れています。博物館や劇場まで自分たちで足を運び、本物を見て学ぶ経験を多く積んでいます。校内行事も盛んでプレゼンテーションの機会も多く、生徒一人ひとりの隠れた力を“耕す”ことを主眼に置いています。中学時代のこれらの経験が、学習意欲と結びつくと4年生(高校1年)になってぐんと学力が伸びていきます」(齋藤校長先生)
こうした豊かな体験を持つ生徒たちの「伸びしろ」を引き上げる役割が、外部講師には求められています。
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