子どもとかかわる仕事がしたい。そう考えたときにすぐに思い浮かぶのが学校の先生ではないでしょうか。授業をしたり部活動をしたり、学校行事や修学旅行などの引率をしたり。教育の分野で働きたいと思うきっかけが、小学校のときの大好きだった先生や、中学や高校で影響を受けた先生だったりする人も多いでしょう。
でも、学校は教員だけでは回りません。学校運営には大勢の人がかかわっています。子どもたちが楽しく、健やかに1日を過ごせるように、多くの仕事があります。教員でなくても子どもたちとかかわる仕事がたくさんあります。
教諭免許が必要な「教員」
【小学校・中学校・高等学校の教員】子どもたちの学習を指導する「学校の先生」です。教壇に立つには小学校、中学校、高等学校とそれぞれの教員免許状が必要で、大学や大学院で学んだあと、採用試験を受けます。
・小学校教員は国語や算数など主な教科を担任の先生がすべて教える
・中学校・高等学校教員は科目ごとに先生が違う教科担任制で教える。
・学校行事や部活動を指導する
・保護者との面談や地域の人との関係づくりを行う
・児童や生徒の進路・生活指導をする
・担任や教務、委員会などの校務に関する分掌を担当する
フルタイムの教員のほか、非常勤で働く先生もいます。非常勤講師、臨時的任用教員など呼び方はさまざまです。
さまざまな障害を持つ子どもが通う「特別支援学校」の先生は特別支援学校教諭といいます。特別支援教育学校教諭免許状を取得して採用試験を受けます。
【養護教諭】
子どもたちの健康を管理し、保健指導をする「保健室の先生」です。
・けがや具合の悪くなった子どもの手当をする
・毎年行う健康診断の計画を立てて実施する
・子どもの健康状態の把握と、健康指導をする
・飲酒防止や薬物乱用防止などの指導をする
・子どもたちの健康状況などを担任の先生や保護者と情報を共有する
養護教諭免許状を取得し、教員と同じく採用試験を受けます。担任の先生や保護者、地域の医療機関などと連携を取って子どもたちの健康を守ります。
【栄養教諭】
子どもたちが望ましい食生活を送れるように専門的な指導をする「食育の先生」です。約10年前に新しくできた制度です。
・給食の献立を考える
・給食を調理するときの衛生管理を行う
・バランスのよい食べ方について子どもに教える
・地域で取れた食材を使う地産地消を推進する
など、学校と子どもにかかわる「食」のプロです。家庭科や総合的な学習の時間などを使って、食育の授業も担当します。

学校をバックアップする「職員」
【学校事務職員】授業以外の学校の仕事を引き受けている学校運営のスタッフです。
・学校で使う消耗品や備品の購入や支払いを手配する
・授業料や給食費のなどの経理的な管理をする
・教職員の給与関係の書類作成や手続きを行う
・学校経営に関する業務全般に関わる(私立学校の場合)
など、学校の「縁の下の力持ち」的な仕事を支えています。公立学校の場合は地方公務員として採用されます。私立学校の場合は学校法人の中核となる総合職として採用される場合がほとんどです。
【学校調理員】
子どもたちが毎日楽しみにしている学校給食を作る仕事です。
・学校の中に調理室が併設されていれば学校で働く
・給食センターのように学校と離れた調理場で仕事をすることもある
・安全・安心な給食を提供するため、調理の技術を磨く
食品を扱うだけに衛生管理など細かな気遣いが求められますが、子どもたちの「ごちそうさま」の言葉にやりがいを感じることの出来る仕事です。
【スクールカウンセラー】
学校で子どもたちの悩みや相談にのる「心の専門家」です。教員と違い非常勤の勤務で、学校に来る日時が決まっている勤務形態が多いです。臨床心理士などカウンセリングの専門資格を持つ人が採用されるケースが多くなっています。
【部活動指導員】
中学校、高等学校で部活動の指導や大会への引率を専門に行う指導員です。平成29年度に新しくできた学校での仕事として注目されています。
・部活動の練習メニューを考える
・実技指導をする
・試合や大会の日程調整や引率をする
教科の授業を担当する教員ではないので放課後や休日が仕事の中心となります。子どもたちが安全にスポーツや文化活動に取り組めるように配慮する仕事で、自分自身の部活動経験が生かせます。
【司書教諭】
学校の図書室にいる「図書室の先生」です。
・本の貸し出しや、整備・購入を手配する
・子どもたちにおススメの本を紹介する
・調べ学習の計画立案や実施サポートを行う
一般の図書館での司書業務にあたる仕事を担当します。地方自治体や学校法人の採用試験を受ける必要があり、図書館司書の資格を持っていると有利です。
【放課後児童支援員】
学校が終わったあとに子どもたちが安全に楽しく過ごせるように対応する「学童保育の先生」。平成27年に制度化された新しい仕事です。保育士などの資格を持つ人が、一定期間の研修を受けて学童保育を行う自治体や企業に採用されます。

まとめ:学校は多くの人が働く「チーム」
学校は、実にさまざまな職種の人たちがかかわり合いながら運営されています。社会の価値観が多様化する中、学校に寄せられる期待や課題も多様化しています。そうした状況に対応するためには学校の先生だけではとても解決できません。学校で働く人たちが「チーム」となってそれぞれの力を発揮することが大切です。文部科学省ではそれを「チーム学校」と呼んで、学校で働く人たち同士が連携して学校運営を進めるよう呼び掛けています。先生をはじめさまざまなスタッフが子どもたちの成長のために貢献している、そんなムードが今の学校には必要なのです。
